2020.01.24

BLOG(ブログ) 省エネについて

環境工学実験住宅【聴竹居】

環境工学実験住宅【聴竹居】

【聴竹居】は意匠も素晴らしく贅を尽くして造られた住宅ですが、なにより、現在に通じる積極的な省エネ住宅であることに感動します。

軒の出を深くして夏の日差しを防ぎ、十分なまでに自然換気を活用しています。

中でも「クールチューブ(導気口)」と呼ばれる管を地中に埋め、一方の端部を庭先に出し、もう一方の端部を建物の中に繋げるシステム。
庭先の口から外気を入れ、地面の冷たい熱で管内の空気温度を下げ室内に取り込む、自然のエアコンです。
窓やクールチューブから取り入れた空気は天井に設けられた排気口で屋根裏に入り屋根裏に設けられた窓から外部へ排出します。
地形に基づく風向、温度差による空気の流れや気温調整、日射を意欲的に活用しています。
そんなに頑張っているシステムですが、言われなければ気づかない意匠で建物に存在し、調和します。
建築家藤井厚二のセンスとこだわりの詰まった住宅です。
内部写真を掲載出来ないのが残念です。ご興味をお持ちの方は是非「聴竹居」で検索して下さい。
私が訪問したのは大阪府北部地震後、一旦閉館となった後の開館初日でした。
偶然予約した日が開館初日だったのです。まだまだ、見学は難しいだろうと思っていた時のことでした。
見学出来ることに驚きつつ伺うと、建物の一部がブルーシートに覆われ、震災の爪痕を感じます。
土壁が一部落ち、一部の建具の建付けが悪く開閉が困難になったと伺いました。
ですが、90年前の建物がこの程度の被災で済んでいることに私は驚きました。
関東大震災の経験を経ての建物だからでしょうか。平屋だからでしょうか。
後に内部の出隅に設けたカウンターも構造として効いているというお話も伺いました。
【聴竹居】
京都府の大山崎に1928年、昭和初期に建てられた建築家藤井厚二の自邸であり、環境工学についての実験住宅です。
藤井厚二は、広島県福山市の酒造屋の次男として生まれ、幼い頃から絵画や書、茶道具が身近にある環境で育ちました。
東京帝大を卒業し、竹中工務店に入社、退社後、私費で「建築設備と住宅研究」の為欧米視察、京都帝大勤務となります。
着任間もなく「関東大震災」を経験、日本という気候風土をより一層意識します。
聴竹居は昔から経験的に気候風土に呼応した伝統的な住まいを科学的に検証し、環境工学を取り入れた平屋建て和洋折衷の住宅です。
実験住宅として5つ建設された最後、5つ目の住宅です。
現在では、昭和の住宅としては初めて国の重要文化財に指定され、「日本の20世紀遺産20選」日本イコモスにも選ばれています。