2021.05.04

BLOG(ブログ) 省エネについて

住宅の省エネルギー基準【H28年省エネ基準】

住宅の省エネルギー基準【H28年省エネ基準】

2021年4月から小規模(300㎡未満)の建物に【省エネルギー基準適合】の努力義務と説明義務制度が始まりました。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、建築の世界もまた一歩先に進みました。

【省エネルギー基準】って?と思われるかも知れません。
現在、住宅の省エネについて色々な基準や言葉があり、少し戸惑われるかも知れません。
ここでは、なるべく簡単にご説明したいと思います。

 

【H28年省エネ基準】
建築物省エネ法の基準です。
国が定めた最低限度、この程度の性能は有ってほしい、という基準です。
※現状(2021年4月時点)は小規模(300㎡未満)の建物に関して達成するかは努力義務です。

「H28年省エネ基準」は下記の2つで構成されています。

 

①外皮性能:(外壁や屋根、窓など)の断熱の性能の基準
→A. 住宅の内部から外部へ逃げる熱を少なくする
・・・外皮平均熱貫流率を基準以下にする
→B. 夏に太陽から受ける熱(窓からの日射熱・外皮の熱)を室内に取込むのを少なくする
・・・冷房期の平均日射熱取得率を基準以下にする

 

②一次エネルギー消費量の基準:設備機器の消費エネルギーを評価する基準
→冷暖房・換気・照明・給湯による設備のエネルギー消費量と家電等のエネルギー消費量を足して、
太陽光発電等でのエネルギー創出分があれば減らして出した総エネルギー量を少なくする
・・・基準一次エネルギー消費量以下にする

 

というものです。
具体的には下表となります。

数値だけでは解りにくいですよね。
どの程度かというと、【一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会】がHPに掲載しています。

 

上記の数値は下記暖房方式により、暖房をした結果です。

その他、計算条件には24時間換気や様々な要素が含まれており、その詳細もHPにアップされています。
また、下記の様な注記も記載されています。

こうしてみると、H28年省エネ基準が最低限度、この程度は有ってほしい、という事も理解出来ますよね。
ほとんど暖房を必要としないとうたわれている高断熱住宅に比べ、手が届き易い仕様となっています。
一次エネルギー消費量の基準についても、太陽光発電等のような創電についての規定も有りません。
家電量販店に行けば省エネ家電も当たり前のように販売されている時代。
【H28年省エネ基準】は少し背伸びをすればおおむね不可能ではないレベルで設定された基準なのかも知れません。

 

H28年省エネ基準では物足りないと思われる方もおられるでしょう。
世界と比較すると、日本のこの基準は低く、段階的に引き上げられるのかも知れません。
現在、先導基準として、H28年省エネ基準より上位の基準も多数有ります。
もう一歩踏み込んだ地球温暖化対策、カーボンニュートラル、サスティナブル、そういったメッセージ
を含んだ、豊かな未来を見据えての基準です。
こちらは次のコラムで記載したいと思います。